2019 年 98 巻 4 号 p. 379-401
弊誌2019年1月号の座談会を受け,バイオマスの利用に不可欠である流通システムに関して,関連する林野庁,実施企業,および研究者の方々にお集まりいただき,現行の流通システムの課題と今後のあるべき姿を議論いただくべく,今回の座談会を企画いたしました。事前に参加者の方々には,現行の流通システムに関しての状況と課題をご提供いただき,その資料をもとに,川上(集材から運搬),川中(材の加工,販売),川下(材の利用)の3部に分け,それぞれの課題を抽出する形式で座談会を実施いたしました。 事前資料の内容から,川上の問題を多くあげていただき,座談会でも川上に議論が集中しており,どの立場の方々も共通の課題として森林整備,道路網整備,利益配分の最適化をあげていらっしゃいました。また重要な課題として,公開され利用しやすい形でのデータ整備が挙げられ,今後のシステム構築に必須の課題であることが再認識される議論となりました。 一部オフレコの議論などもあり,ここでご紹介できないのが誠に残念ではありますが,川下から川中で活動されている現場の声も切実であり,そこからくる技術系の課題も多く提言されている座談会となりました。特に川下の研究者の方々には是非ご覧いただき,今後の研究開発にお役立ていただければ幸いです。