2009 年 12 巻 4 号 p. 320-332
電子機器のさらなる小型化のニーズによって,CSP(Chip Scale Package)のはんだ実装信頼性の確保が重要となっている。実装寿命の平均値のみならず,寿命のバラツキも含めた設計技術が求められている。しかし,寿命のバラツキの起因は大変複雑で,その解析は大変な労力を必要とする。本研究では,熱衝撃疲労試験で得られるはんだバンプ接合部の寿命のワイブル分布に異なる傾きが存在することに注目し,それぞれの傾きに対応するサンプルのグループから異なる破壊モードを抽出する方法を提案した。さらに,傾きの変動とバラツキ要因の相関から,破壊モードに対して最も影響を与える要因を明らかにすることができた。本研究では,CSPはんだ接合部のソルダーレジスト開口径のバラツキが疲労破壊のモードの変動を引き起こし,大きな疲労寿命のバラツキをもたらすことを明らかにした。さらに,疲労き裂進展シミュレーション技術を用いてバラツキ要因と破壊モードの関係を検証した。