2012 年 15 巻 6 号 p. 476-482
フェムト秒レーザを用いて,石英ガラス表面にナノサイズの微細構造を形成できることが知られているが,加工制御性や加工安定性には,まだ課題がある。さらに,加工が可能なエネルギの閾値近傍の条件で,銅薄膜を介してレーザ光を照射して銅薄膜と石英を同時にアブレーション加工することで,容易に微細構造を形成できる方法も知られている。しかしながら,銅が表面に堆積された石英ガラスにフェムト秒レーザ光を照射する際,銅がどのような影響を及ぼしているのかというメカニズムは,まだ解明されていなかった。われわれは,今回,表面に形成された銅ナノ粒子を介しても,フェムト秒レーザ光を照射することで,石英表面を微細加工できることを確認した。さらに,そのメカニズムとして,フェムト秒レーザ光照射の際,石英ガラスと銅ナノ粒子の界面で表面プラズモンが生成されることにより,アブレーションが効率よく生じることを解明した。また,ナノ構造の加工深さが,銅ナノ粒子の体積に依存していることを明らかにした。