2014 年 17 巻 1 号 p. 63-68
従来,人体通信の実験評価には,筋肉の電気特性を有する均質ファントムが用いられてきた。しかし,皮膚,脂肪,筋肉から成る多層構造ファントムが必要であることが明らかになっている。さらに,人体通信の周波数帯域である10 MHz周辺では,従来ファントムによる人体の特性再現は困難となる。このため,10 MHzで利用可能な人体通信用多層構造ファントムの開発が急務である。本研究では,筋肉および脂肪ファントムについて検討し,人体通信機器の入力インピーダンス特性の測定に適用可能な電気定数の範囲を明らかにした。解析結果から,筋肉および脂肪ファントムは,従来の材料の比率調整で容易に作成可能であることを明らかにした。