2021 年 24 巻 6 号 p. 586-594
有機薄膜トランジスタ用ゲート絶縁層の機械的負荷にともなう絶縁性能変化を実験的に評価する。この評価では,絶縁層の絶縁性能変化のみにフォーカスするため,一般的なボトムゲート型トランジスタ構造から半導体層を取り除いた新たな試験体構造を提案する。評価結果から,試験体のひずみ1.0~1.5%程度から,絶縁層の絶縁性能が劣化することを示す。また,電気的境界条件を変えた計測から,ソース/ドレイン-ゲート電極間にリークパスが形成され,ゲート電極を経由してドレインリーク電流が生じることを示す。顕微鏡観察から,絶縁層に塑性変形と見られる損傷が生じるひずみ領域で,絶縁性能が劣化することを示す。