エレクトロニクス実装学会誌
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研究論文
水冷積層セラミック基板を用いたパワーモジュールのパワーサイクル寿命向上
指田 和之竹原 奈津紀大貫 仁篠嶋 妥
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2022 年 25 巻 3 号 p. 250-259

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抄録

本研究では,産業機器用小型電源のメンテナンスフリー化を目的として高い接続信頼性を有する高性能パワーモジュール実装技術を検討した。すなわち,内層に水冷の流路を有する高い冷却性能の水冷積層セラミック基板ならびにその上部への高信頼性パワー半導体ベアチップ接続技術を開発した。開発した水冷積層セラミック基板は冷却効率が高く,放熱特性に優れている。さらに,その表層には回路パターンが形成されており,はんだを介して搭載されたベアチップを十分に冷却することができる。しかし,パワーオン,オフに伴うベアチップの表面温度の急激な温度変化により,Pb-5Snはんだ接合部にクラックが進展し,パワーサイクル寿命が劣化する可能性がある。そこで,水冷積層セラミック基板上のクリップの線膨張係数とはんだ厚さの熱疲労寿命に及ぼす影響を検討した。クリップの線膨張係数を16 ppm/KのCuから8 ppm/KのCu-Moに変えることにより,はんだ厚さが10 μmと薄くても,モジュールのパワーサイクル寿命を,クリップ材質Cuと100 μm厚さのはんだを用いたモジュールのそれよりも4倍以上長寿命化でき,20年以上の信頼性を達成できる見通しを得た。

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© 2022 一般社団法人エレクトロニクス実装学会
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