2005 年 8 巻 3 号 p. 233-236
ヒドラジンを還元剤とする無電解純ニッケルめっき膜の電気伝導性および微細構造への浴組成の影響を明らかにした。膜中の不純物のうち, 炭素, 硫黄, ホウ素含有率を測定し, 特に炭素は, 0.01mass%から0.19mass%の範囲で大きな変化を示した。結晶構造は, 断面TEM像により検討し, 電子線回折結果から, 析出膜の結晶方位は全般にランダムであることがわかった。また, 結晶粒径は浴条件に応じて, 10nmから120nmの問で変化し, ヒドラジン濃度が高い浴から析出した膜の結晶粒径は大きくなった。また, サッカリンを添加することでも結晶粒径は大きくなった。膜組成と結晶粒径との関係を整理した結果, 膜中の炭素含有率と結晶粒径との関連性がみられた。一方, 電気伝導性は, 炭素含有率の増加とともに, 直線的に低下することが明らかとなった。