2006 年 9 巻 1 号 p. 52-56
ヒドラジン還元浴から作製した無電解純Niめっき膜上に置換Auめっきを施し, その上にSn-3.0Ag-0.5Cu鉛フリーはんだを接合し, 加熱式はんだボールプル試験によりプル強度を測定した。比較のために, 一般に使用されるP含有率の異なるNi-Pめっきについても調べた。その結果, 平均プル強度はP含有率が低くなるにつれて高くなり, その測定値のばらつきは小さくなった。接合界面組織はNi-Pめっきの場合, Pリッチ層およびデンドライト状の不均一な (Cu, Ni) 6Sn5金属問化合物層が形成され, Pリッチ層の厚さはめっき膜中のP含有率が高いほど厚くなった。一方, 純Niめっきの場合, Pリッチ層は形成されず, 均一な (Cu, Ni) 6Sn5金属間化合物層のみが形成された。プル試験後の破断面観察から, Ni-Pめっきの場合は, Pリッチ層およびPリッチ層と (Cu, Ni) 6Sn5金属間化合物層との境界層で破壊が起こるのに対して, 純Niめっきの場合は, (Cu, Ni) 6Sn5金属間化合物層で破壊しており, Pリッチ層がプル強度の低下に影響を与えていることがわかった。Pを含有しない純Niめっきは平均プル強度が最も高く, 測定値のばらつきが最も小さく, 高い接合信頼性が得られることが明らかとなった。