造園雑誌
Online ISSN : 2185-3053
Print ISSN : 0387-7248
ISSN-L : 0387-7248
造園樹木の亜硫酸ガス抵抗性に関する研究 (第2報)
亜硫酸ガス抵抗性の栄養条件の差異による影響について
北村 文雄鈴木 雅和
著者情報
ジャーナル フリー

1976 年 39 巻 4 号 p. 16-21

詳細
抄録
イ)本研究は,造園樹木の栄養条件と亜硫酸ガス抵抗性との関係,すなわち栄養条件の悪化特に窒素,燐酸茄里の欠乏が樹木の抵抗性におよぼす影響を実験的に明らかにして,都市緑化などにおける樹木管理の技術的進歩の一助となることを目的として行われた。供試樹木として,ヒメシャリンバイ,マサキ,サンゴジュを用い,夏季および冬季にその1年生苗木を栄養条件を変えて砂.耕培養を30日間行った後,公害実験用グロースキャビネット内にて亜硫酸ガスを接触させて,その被害状況などを調査した。
ロ)実験結果によると,栄養条件の差異は,一般に夏季において亜硫酸ガス抵抗性に大きく影響し,亜硫酸ガス接触により無栄養区にいちじるしい被害がみられ,N欠区もこれに次ぎ被害大きい。逆に完全栄養区は被害もっとも少なく,K欠区も少なく,P欠区は中位である。冬季はわずかに夏季と同傾向が認められるが,被害はほとんどなく,栄養条件の差異による影響は実質的にはほとんどないといってよい。
ハ)被害度の1指標である落葉率は,夏季のヒメシャリンバイ,サンゴジュではおおむね被害度と同傾向を示している。
ニ)葉色測定の結果,被害葉はより明るく,赤や黄色側に傾いている状態がみられた。養分欠乏による色の変化についてははっきりした傾向は認められない。
ホ)葉分析により,N欠区,K欠区,無栄養区はそれぞれ窒素,加里,窒素および加里が他区よりも少なく,養分欠乏を起こしていることが確認された。
へ)供試樹木の亜硫酸ガス抵抗性については,実験結玉果からマサキがかなり強いことが明らかとなり,ヒメシャリンパイこれに次ぎ,サンゴジュにもっとも大きい被害がみられた。
著者関連情報
© 社団法人 日本造園学会
前の記事 次の記事
feedback
Top