アメリカの動物園で生態的展示が発達してきた経緯を明らかにするために, アメリカの動物園史の時代区分を行い, その史的全体像の把握を試みた。 ハーゲンベックのパノラマ様式をとりいれることにより発達した生態的展示は, その後, 動物地理学的配列の制約と近代主義の影響をうけたが, バイオームの概念をとりいれることにより, 生息地別配列にもとづく生態主義の時代をむかえた。 その起源は, アメリカ自然史博物館のジオラマ展示にみることができた。
またアメリカでは, 初期に移動動物園をともなったサーカスが人気を博していたため, 動物園をショーの世界と同一視する動物園観が永く定着していた。