造園雑誌
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「都市型共同墓所」 の構築と地縁・血縁を超える墓地の方向
槇村 久子
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1993 年 57 巻 5 号 p. 109-114

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抄録

地縁血縁の中で成立, 維持されてきた墓地が近代化の中で崩壊してきた。これまでの墓地が固定的な地域共同体により支えられていたなら, その崩壊後にはどのような墓地が出現してくるのか。その墓地は何を要素として成立しているのか。近年新たな形で出現している都市型共同墓所を調査することで, 地縁血縁を超える墓地の方向を探る。都市型共同墓所とは家族を単位とせず, 地縁血縁によらずに同じ墓所に眠る形をそう呼ぶこととする。分析の結果, 共同墓所に共通にあるのは個人単位, 共同祭祀, 死後の平等の3点。今後の方向として墓所の共同化, 有期限化, 無形化が導き出された。それは近代化の矛盾の課題に対応し, 近代を超える萠芽と見られる。

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