1993 年 57 巻 5 号 p. 217-222
兵庫県三田市のフラワータウン内に残存する二次林を島の生物地理学的視点から孤立林として扱い, その樹林の現状および保全について考察した。調査の結果, 孤立林の面積と出現種数には強い相関があることが明らかとなった。樹林の小面積化と共に減少してゆく種は林床に生育する多年生草本植物, 特に好適湿性の種が多く, 種の欠落には立地の乾燥化が主として影響していると考えられた。孤立林の特徴として種の欠落と共に周辺の植栽樹木からの種子による侵入が認められた。種数一面積関係などから孤立林の保全面積をいくつかの方法で提案した。樹林を残すに当たって多数の小面積孤立林か, 少数の大面積林かという問題についても考察した。