本論は, 様々な様式形態を含んだ庭園風景が「美しい」ものとして捉えられる際に, 庭園建築の外部意匠が担っている役割を景観論的に明らかにする。14庭園27建築に対する眺望点の抽出等の実証調査を通じ, 文化的な様式形態の基礎に共通して見られる形態上の特性を, J. AppletonならびにJ, J. Gibsonによる視覚論の知見に基づき解読している。結論として, 建築の外部形態の認知尺度を提示し「風景に対する人間の美的感覚を啓発する」性質と「仮想行動の示唆体として機能する」性質との両面から, 庭園建築の担っている風景美上の役割を整理している。