ランドスケープ研究
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近代公園の成立過程における国民統合政策の影響
野嶋 政和
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1994 年 58 巻 5 号 p. 25-28

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抄録

本論では, 明治22年の東京市区改正設計告示から明治36年の設計変更を時代対象として, 近代公園の成立期における, 国民統合政策の影響を考察することを目的とした。神社行政の動向や文化財保護行政の展開において, 空間の社会的意味形成機能への認識が高まる中, 社寺境内地, 特に神社境内地を基盤として出発した市区改正の公園も, 社会的意味形成を担う空間として捉えられ始めることになった。造園家小沢圭次郎は, 国民統合政策の論理に依拠して, 市区改正公園への批判を展開し, 庭園様式を援用した「公園論」を著した。この小沢の「公園論」は, 公園の近代化の転換点を示す日比谷公園の開設過程にも影響を及ぼしていた。結果的には, 小沢らの主張は実現しなかったが, 公園や文化財などのオープンスペースに対する認識の変化と関連していた。

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© 社団法人 日本造園学会
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