1994 年 58 巻 5 号 p. 57-60
本論文は, ジャワの都市におけるオープンスペースを対象として, その文化的な特徴をあきらかにすることを目的としている。主として固有の伝統文化の文脈に着目し, 野外調査の結果によって得られた知見に基づいて, それに考察を加えるという方法をとった。まず, 都市のオープンスペースを概観し, 庶民住宅地カンプンの路地, 王宮の前庭アルン・アルン, 貴族住宅ダルムを考察の対象として抽出した。村落のオープンスペースとの比較検討の結果, 住居のまわりの空間とその連鎖がオープンスペースを形成すること, それはプカランガンという概念であること, その特徴として個人所有開放性, 相互性 (社会性) があげられることがわかった。