都市や農村における環境計画では, 生物群集やその生息地の保全・再生は重要な課題の一つである。計画対象地域で生物群集調査を行い, 得られた種組成のデータに多変量解析を適用することで, 生物群集や生息地の現状を把握し, 計画策定のための判断材料を得ることができる。多変量解析により可能な作業として, 計画対象地域の生物相の広域的な位置づけ, 対象地域内部の環境構造の把握, 生息地 (またはビオトープ) 地図の作成, 計画代替案の有効性の相互比較, 環境モニタリング対象種の選択などをあげることができる。本論文では, 多変量解析による生物群集分析の可能性を既往研究に基づき整理し, 実際の地域環境計画への応用について考察した。