1996 年 60 巻 5 号 p. 417-420
本研究の目的は, 明治4年から6年にかけて明治新政府により欧米諸国へ派遣された岩倉使節団の公式報告書である「特命全権大使米欧回覧実記」の中で, 都市公園に関して用いられている多くの用語の使われ方の相違を明らかにすることにある。そのために「実記」中にあるそれらの用語の使用箇所をすべてピックアップし, 分析した。都市公園をあらわす用語は公園の形態・施設により使い分けが見られる場合もあるが, 一方でひとつの公園の表現に特定の用語があてられたわけではない。実見者にとって, 実見しているがゆえに, 多様な用語の使用が見られ, 「公園」の概念の理解についてはまだ流動的な状況にあったといえよう。