ランドスケープ研究
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江戸時代までの花壇についての史的考察
飛田 範夫
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1997 年 61 巻 5 号 p. 385-388

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抄録

平安時代前期に前庭に畝をつくり, キクを植えている例が見られるが, 土を盛って壇を築いて排水をよくして植物を育成させようとしたことが, 花壇を生みだしたように思われる。庭園施設として花壇を観賞に耐えるものにすることは, 二義的に重要なことであった。花壇という言葉は10世紀中頃の中国の詩にあり, 日本では『看聞御記』の応永25年 (1418) 2月28日の条に「東庭築花壇栽草花」とあるのが初見である。最も古い花壇遺構は, 朝倉館跡で室町時代のものが検出されている。江戸時代の花壇としては, 流行の植物専用, 回遊式庭園では重要な施設, 植木屋ではキクの栽培場所民家では草花を植える所, 寺院では草花・樹木の苗畑としての事例がみられる。

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© 社団法人 日本造園学会
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