ランドスケープ研究
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東京都目黒区・旧西郷従道邸庭園に関する造園生活史的研究
鹿野 陽子服部 勉楊 舒淇仲田 茂司進士 五十八
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1997 年 61 巻 5 号 p. 389-394

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抄録

東京都目黒区の旧西郷従道邸庭園は, 江戸期の庭園を前身として, 明治期の和洋折衷式庭園, 住宅地1と変遷して現在に至っている。本園は,(1) 東京の典型的な大名の庭園の変遷を辿ることができる事例であり,(2) 成立当初の地形の特色が比較的良好に残っている。(3) 江戸期から昭和初期までは別業的性格を持ち, 名所として半公共的価値を有する庭園であった。(4) 明治期には, 華族たちの社交の舞台として頻繁に利用され,(5) 庭園意匠や空間構成に明治期の欧化思潮が色濃く反映されていた。また.(6) 戦前には, 国の史蹟に指定された文化財でもあった。これらの特色によって, 本園は, 後世に継承されるべきランドスケープ遺産としての資質を有するものとみなされ得る。

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© 社団法人 日本造園学会
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