ランドスケープ研究
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年輪解析を用いた砂漠緑化樹木の成長に及ぼす気象条件の評価に関する研究
榎本 百利子森本 幸裕王 林和
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1997 年 61 巻 5 号 p. 515-518

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抄録

中国内蒙古自治区の黄河中流域オルドス高原に位置するムウス砂漠 (毛烏素沙地) は, 砂漠化が進行してきた地域であるが, 近年毛烏素沙地研究センターを中心に緑化が進められてきた。現地では植栽された緑化樹木が成長してきているが, 不成績地も見られる。本研究では, 不成績地の原因を明確にするために, ポプラ属2種, 樟子松, 旱柳, 臭柏 (臭柏は極相群落構成種, 他は導入された緑化樹種) について年輪解析を行い, 樹種ごとに年輪成長と気象条件の関係を評価した。その結果, 第1因子は冬の低温, 第2因子は夏季の湿潤度第3因子は冬の日照時間, 第4因子は年降水量となり, この4因子が緑化樹木の生育を制御する要因であることが示唆された。また, 緑化樹木と現地の樹種では, 乾燥地における適応形態が異なっていることも判明した。

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