ランドスケープ研究
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19世紀におけるアメリ力合衆国へのツタの伝播と普及について
中尾 裕介
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1998 年 62 巻 5 号 p. 489-494

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抄録

ツタ (Parthenocissus tricuspidata) は, 東アジア原産であるが, 現在では西洋の風景の一要素となっている。本稿では, アメリカ合衆国へのツタの伝播と普及の経緯を, 主として当時の英米の造園.園芸関係雑誌の記事に基づき, 明らかにしようとした。ツタは1868年, John Charltonがイギリスのヴィーチ商会からアメリカ合衆国に導入し, 1869年に市販された。1880年頃以降, Boston市とその近郊で普及し風景の特徴となるに至り, Bostonivyの名で呼ばれるようになった。1890年代には, New York市周辺でも普及しており, 建築物壁面の他, 鉄道法面にも用いられた。19世紀末までには, 内陸中部の州や太平洋沿岸でも植栽されていた。

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