1998 年 62 巻 5 号 p. 603-606
広島大学キャンパス内のビオトープ計画に際し, 計画地における計画実施前の植生の評価を行った。まず景観レベルでの評価として, 植生図, 工事履歴図, 地形分類図及びこれらのオーバ-レイ図を作成し, 地理情報システム (GIS) でデータベース化した。その解析結果をもとに, 計画地内で保全が望まれる区域と整備に適した区域を抽出した。保全対象種としたカンアオイ属が生育する森林では, 個体群レベルでの調査も行い, 工事予定区間からの距離を各樹木とカンアオイ属個体について求めた。これら景観・個体群レベルでの評価の結果, 工事予定区周辺に保全が望まれる植生要素が多く分布することなどが判明し, それらをもとに計画の再検討を行った。