階段の下降時に転落事故が多発していることは, 利用する人への優しさに欠ける空間設計という点で大きな問題がある。つまり, 階段には物理的な安全性と精神的安心感を兼ね備えた構造が求められる。本研究はタイ国チェンマイ市の郊外にあるドイステープ寺院境内の階段を対象に, 階段の実測から, 階段部位と踊り場の形態, それらの構成について分析した。その結果, この階段は, 階段全体の断面基線として見た場合, 上方では太鼓, 下方で逆太鼓の法線を持つことの究明のほか, 階段部位踊り場の編成の形態などを具体的に明らかにでき, 階段の設計の一面について考察した。