1999 年 63 巻 5 号 p. 735-738
本研究は, 日本の都市住民の多くが利用してきた銭湯に関して, 第一に, 戦後の都市拡張の中において行われた銭湯の立地の特性について把握し, 第二に, 銭湯周辺の物的空間構成から人々の生活行動に関わる空間秩序を読み取ることを目的とする。研究対象として, 東京都練馬区の銭湯65軒を抽出し, 道の階層性および住宅の集積との関係から立地特性の分析を行い, さらに銭湯周辺の商業施設の分布および商店の業態から空間構成の分析を行った。その結果, 銭湯は滞留時間の長い商業施設の中心に位置し, 都市拡張のフロンティアとして街並み形成に重要な役割を果たしていたことなどが明らかとなった。