風景や景観を表題にする著作が近年になって多くなった。これは風景というものに対する興味が人々に現れた結果であると考えられる。明治以降に出版された風景や景観を表題などに含む本について, 風景という現象に対する理解がどのように変遷して来たかについて調べた。その結果最初は人間の外界にある現象だと思われていたが, 次第に人間の心に生ずる特別な現象であることが理解されるようになった。人間の五感を通した大脳の機能による現象であることが指摘されるようになり, これをもたらしている景観体験について, 時間の長さを変えて, また気候や文化などによる影響について明らかにする必要が分かった。