基盤整備後の棚田畦畔を自然に近いかたちで緑化する目的で, 我国の在来種に由来する園芸植物を畦畔法面に定植し, 1年間にわたりそれらの法面被覆過程を調査した.シロバナサギゴケ区では成長の開始が早く, 5月下旬には全面が被覆された. しかし秋季にはほとんどの親株が枯死した. キチジョウソウやコグマザサは初期成長が遅く, 処理区内に多くの雑草が発生した. しかしながら何度か草刈りを行えば, 秋季までには活着し法面を十分被覆した. 土壌の水分状態に対応し, 法面下部ではシロバナサギゴケの生育がよく, 逆にコグマザサは生育が抑制された.