本研究は, 山アテ行為で用いられる陸地の景観と付与呼称との関係に着目し,(1) 船舶の定位作業で陸地景をどのように認識しているのか,(2) 如何なる形状に対して何を連想しているのか,(3) 視対象の形状を契機とする相貌的語彙の多少差が名づけ行為にどのような影響を与えているのかを明らかにする。
その結果,(1) 漁師は陸地景に対し全体から部分へと視認範囲を絞り込みながら船舶をより正確に定位している。(2) 陸地景に対し身体や道具といった身近なものを相貌しながら簡易に認識している。(3) 視対象に対する相貌的語彙の多少差が,「山」型には「もの」的表現,「崎」型には「こと」的表現という付与呼称の表現の違いを生じさせていることを導き出した。