ランドスケープ研究
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大阪府下の八景の特性
飛田 範夫
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2001 年 65 巻 5 号 p. 375-378

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抄録

大阪市内の八景としては, 江戸前期に眺望地や社寺, 中・後期に社寺・茶屋などの行楽地, 明治に欧米の影響が見られる場所が挙げられているが, 大正には幕末に大坂城周辺の光景を描いたものが懐かしがられている。一方, 住吉八景は隣接する堺まで含んでいたことから, 流行歌では堺八景に変化している。また, 江戸時代には画家が狭山八景を選び, 東大阪では文人が自邸から見える富景楼十景をつくっている。瀟湘八景にならって八景を選定することが日本で流行したのは, 中国文化に対する憧れがあったからだが, 漢字熟語の豊富な意味合いを活用して, 風情を求めることが根底にあった。しかし, 現代の八景選定では風景の構成美が重要視されている。

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