本研究では屋敷林の微気象改善機能を再確認し, 管理による効果の違いを検証するために, 平地の単列屋敷林において枝打ち管理の施業前, 施行後の微気象を観測・比較した。その結果, 枝打ち前の観測では冬期における防風・防雪効果, 夏期における防風・気温調節効果が確認されたが, 屋敷内における冬期の堆雪, 夏期の気温におけるデメリット面もみられた。しかし枝打ち後の観測で屋敷内における積雪の軽減, 夏期の気温の低下が認められた。以上により, 土地利用上多くの列を植栽することが難しい屋敷林が, 通年的・複合的に微気象改善機能を持ち, かつ十分有効であることが示された。また, 枝打ちを行うことにより微気象機能が更に向上することが示され, この面からも屋敷林の管理が必要であることが認められた。