年間を通じた気温の上昇が, 冬季に開花するサザンカ (シシガシラ) の開花に及ぼす影響を検討する目的で, 6年生の挿し木苗を野外の気温に1.5℃, 3.0℃, 4.5℃ 加温した温暖条件および野外と同温,-1.5℃ に調整したグロースチャンバー内で育成し, その2年目の開花経過を調べた。その結果, 開花の開始は, 設定温度の低い区から始まり,-1.5℃ 区と+4.5℃ 区の開花開始の差は1ヶ月半に及んだ。これに対し, 花の形態について, 設定温度の高い区ほど, 花弁数, 雄ずい数が増加する傾向を認めた。以上の結果, 生育環境の気温上昇は, 開花期の遅れと花の形態の大型化, 花弁数等の多数化という現象を引き起こす可能性があると考えられた。