猪名川下流域の低水敷において, 河川本来の自然植生を復元することを目的とした手法を用いて, 河床掘削工事を行った。工事では, 平面形状の保全, 低水敷の緩傾斜化, 現場で発生した表土の埋戻しを行った。2年間にわたる追跡調査の結果, 埋戻しを行った区域では, 行わなかった区域と比較して次のような効果が得られた: 立地に応じた多様な植生の復元, 帰化植物群落面積の減少と在来植物群落面積の増加, 絶滅危惧種の出現。このように, 河床掘削工事においても低水敷を残し, 平面形状の保全, 緩傾斜化, 表土の埋戻しを行うことで, 河川本来の植生の成立やその多様性を高めることが可能であることが示された。