2023 年 2023 巻 223 号 p. 209-228
BCP(事業継続計画)とは、災害などの不測の事態により企業の事業が中断した場合にどのように事業を復旧させるかの方針を示した計画である。そして、BCPには災害後の事業の早期復旧効果が確認されている一方で、政府目標と比べてその策定率は未だ低水準にある。そのため、策定率向上に向けた有効な施策のあり方については議論の余地が残る。本論文では、「企業の規模、収益性、成長機会、コーポレートガバナンスといった要因がBCP策定の有無に影響を与える」という仮説を実証的に検討することにより、BCPの策定率向上に向けた有効的な施策を提言する。重回帰分析による検証の結果、企業の規模が大きく、成長意識が高く、機関投資家持株比率と社外取締役比率の両方が高い企業において、BCPを策定する傾向が高いことが確認された。