腸内細菌学雑誌
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食物アレルギーと免疫機構
矢田 純一
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2001 年 14 巻 2 号 p. 61-66

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抄録

食物アレルギーは主にIgEクラスの抗体と食物抗原との反応によって生じると考えられる.IgEへのクラススイッチにはIgE定常部遺伝子上流の1領域からのgerm line transcriptの転写とそれに伴うS領域のレコンビナーゼによる切断が関係する.これらはB細胞表面のIL-4レセプターとCD40分子への刺激によって誘導され, IFN-γ の作用によって抑制される.したがってIL-4を産生するTh2細胞とIFN-γ を産生するTh1細胞のバランスがIgEの産生には重要で, Th2優位に導く要因がアレルギーの発生に関わる.消化管の免疫系は通常の免疫系とはある程度独立していて, そのリンパ組織にはTGF石やIL-10を産生するようなT細胞が多く存在する.TGF-β はIgAへのクラススイッチを誘導するので, 消化管における分泌型IgA抗体を産生するのに好都合である.一方IL-10はTh1細胞を抑制するので, IgE産生には有利な条件をもたらす.細菌DNAの非メチル化CpGモチーフはマクロファージからIL12産生を誘導する.IL-12はTh1細胞を誘導するので, IgE産生を抑制する条件をもたらす.食物アレルギーの発生については, Th2細胞を活性化しやすい抗原や誘導物質の存在, Th1細胞を誘導しやすい細菌DNAなどの存在との力関係が関与しよう.

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