8 巻 (1944) 9 号 p. 432-438
金属の熔解前の結晶状態が再熔解して凝固後の粒度に關係することが考へられる.アルミニウム及びその合金の鑄塊組織に關聯してこれを研究することにした.アルミニウムに就いて異なる結晶状態のものを同一實験條件のもとに再熔解して凝固せし後の粒度を調べた結果,或る加熟温度に於て明瞭に差違のあることが明白になつた.一般に熔湯の加熟温度が高くなるにつれ凝固した場合の粒度は粗大となるかに考へられるが,併し著者等の實驗に依つては或る加熟温度迄は細か,くなるが,更に加熱温度が高くなるときは急に非常に荒くなる如き不連續性があり,この不連續點迄は熔解前の結晶状態の影響がある.加熱温度か更に高くなると熔解前の結晶粒の影響は無くなることが認められた。比重は粒度と密接な關係があると考へ測定することにしたが比重も熔解前の結晶粒の影響のあることを知ることも出來た.叉熔湯を攪拌して影響を調べたが著者等の實驗程度では殆ど無かつた.併し凝固中に振動を與へると影響は大であつた.