日本食生活学会誌
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論文
3種類の冷凍野菜の破断特性と組織構造の特徴
―カボチャ, ニンジン, アスパラガスについて―
田村 咲江山本 奈美
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2007 年 18 巻 1 号 p. 56-63

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抄録
  食用部の組織の異なる野菜について, 冷凍・解凍後のテクスチャーと組織構造の変化を調べることを目的として, -45℃に設定した冷凍庫で-40℃まで冷却して5分後に解凍したカボチャ果肉部, ニンジン皮層部及びアスパラガス茎の破断特性値と氷結晶跡の顕微鏡観察を行い, 野菜による特性を検討した。その結果, 食品により氷結晶跡の形態の相違や破断特性に相違が認められた。
  1. カボチャの冷凍過程中の変化を調べた結果, -5℃でデンプン容積が縮小して急激な細胞内氷結晶の増大がみられ, 以後も漸増することがわかった。カボチャでは比重の相違による影響がみられ, 比重の大なものほど細胞外氷結晶は細かく分散していた。いずれも細胞破壊はみられなかった。
  2. ニンジン皮層部は, 細胞外氷結晶の生成により, 凍結前に比べて破断歪率が顕著に増大した。細胞破壊はみられなかった。
  3. アスパラガス茎では, 上部, 下部いずれも冷凍前に比べて破断強度は低下し, 破断歪率は増した。皮層部の内側に存在する厚角組織は, 上部では細胞破壊で断裂していたが, 下部では強靱で冷凍による損傷を受けなかった。髄部には散在維管束の周辺に巨大な氷結晶跡がみられた。
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© 2007 日本食生活学会
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