日本食生活学会誌
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日本人の加齢に伴う食事摂取傾向の特徴
貝原 奈緒子木元 幸一
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2016 年 27 巻 2 号 p. 127-132

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抄録

 日本人の加齢に伴う食事摂取傾向の特徴を米国人の場合と比較することにより,以下の結果が得られた。

1 日本人の摂取エネルギー量は,男女とも15~19歳代で最も高く,20歳代で減少し,60歳代までほとんど変化せず,70歳代以上で減少した。米国人男性の摂取エネルギー量は,30歳前後がピークで加齢とともに減少傾向にあった。女性は,男性に比べて摂取エネルギー量は低位に維持されていた。

2 日本人は,50歳代を契機として魚介類の摂取量が鳥獣肉の摂取量を超えた。

3 日本人は,年齢を重ねるに従い野菜類の摂取量が増えた。米国人は男女間で摂取量に差がみられたが,日本人の場合,摂取量の男女間での差はほとんどみられなかった。

4 豆類では,日本人は年齢の上昇とともに摂取量が増加していた。また,日本の場合男女間における摂取量の差はみられなかった。

5 日本人の果物摂取量は20~30歳代で減少し,その後,年齢の上昇とともに急激に摂取量が増加していた。また,女性の摂取量が男性を上回っていた。米国人の果物摂取量は,年齢の上昇による減少はなく,一定量が維持されていたが,日本人のような増加は観察されなかった。

6 年齢の上昇とともに日本人が摂取量を増加させている食品(魚介類,野菜,豆類,果物類)は,高齢期において栄養上好ましく,生活習慣病を防ぐには好都合のものである。近年,日本人の上記食品群の摂取量が減少してきているので,その減少を押しとどめるべく,多様な食材を活用したり伝統食を継承したりしていくことが重要である。

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