日本食生活学会誌
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有機栽培トマトの品質と土壌成分
高澤 まき子保井 明子
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1999 年 10 巻 3 号 p. 32-38

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抄録
完熟堆肥施用の土壌 (有機区) と化学肥料施用の土壌 (無機区) で栽培したトマト果実について成分分析と官能検査を行い, 比較検討した.
1) 栽培土壌の分析値は, 有機区の方が無機区より電気伝導度が高く, 硝酸態窒素量, 有効態リン酸量, 交換性塩基量が多かった.
2) トマトの成分のうち, 水分, pHについては栽培法による差は認められなかった.灰分含量, マグネシウム含量, リン含量は有機区で高く土壌分析の結果を反映していた.カルシウム含量は無機区で多く, 土壌中のカルシウム含量の影響はみられなかった.
3) トマトのビタミンC含量は有機区で低く, 土壌中の高い窒素含量が亜硝酸含量の上昇を介して, ビタミンC含量を低下させたものと推測された.
4) トマトの有機酸含量は有機区で高く, 糖度は無機区で高かった.
5) トマトの赤味度は有機区で高く, 赤味度とビタミンC含量の間には負の相関 (r=0.524p<0.05) があった.
6) 官能評価の色, 酸味においては有機区で評価が高く, これらは色調測定および有機酸含量と一致した.甘味, 総合評価においては無機区で評価が高く, 甘味と糖度の測定値と一致した.
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