日本食生活学会誌
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乳果オリゴ糖配合粉末清涼飲料摂取の排便に対する影響
岩井 和也中林 義晴藤田 孝輝根岸 由紀子奥脇 義行菅原 龍幸
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1999 年 10 巻 3 号 p. 64-75

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抄録

健常な被験者 (50名) を対象に乳果オリゴ糖 (LS) 入り粉末清涼飲料 (16g, LSとして2.1g) を2週間摂取させ, 排便日数, 糞便菌叢, 便性状など複数の観点から排便状況に及ぼす影響を検討した. 対照には甘味料としてショ糖と麦芽糖のみを使用したプラセボ粉末清涼飲料を用い, プラセボ粉末清涼飲料摂取期 (Cont. 期) とLS入り粉末清涼飲料摂取期 (LSlw期, LS2w期) の間に1週間の非摂取期間 (Blank期) をおいた.
対象者全員で比較すると, 1週間当たりの排便日数は非摂取期 (Blank期) に比べてLS入り粉末清涼飲料摂取により有意 (p<0.05) に増加傾向を示した. しかし, プラセボ粉末清涼飲料摂取期 (Blank期) に比べると有意差は認められなかった. また便秘傾向者の場合はその影響が顕著になり, プラセボ粉末清涼飲料を摂取したCont. 期との比較では, LSlw期は有意な増加は認められなかったが, LS2w期は有意 (p<0.05) な排便日数の増加が認められた. 便性状に関しては便の量, 便の形状, 感覚的な便の硬さの3項目で非摂取期に比べて有意 (p<0.05) な改善が見られた. また, プラセボ粉末清涼飲料摂取期との比較でもLS入り粉末清涼飲料摂取により便の形状, 感覚的な便の硬さにおいて有意 (p<0.05) な改善効果を示した.
糞便中の総嫌気性菌に対するBifidobacterium占有率はLS入り粉末清涼飲料摂取により非摂取期に比べて有意 (p<0.05) な増加が見られた. また, プラセボ粉末清涼飲料摂取期との比較でも有意 (p<0.05) に増加した. また, LS入り粉末清涼飲料の摂取量を段階的に2倍量 (32g, LSとして4.2g), 3倍量 (48g, LSとして6.3g) まで増加した場合, それぞれ29.4%, 37.9%の割合で泥状便が出現し, 「お腹が痛かった」「お腹がゴロゴロした」「膨満感」「おならが出た」などの腹部症状が発生した. しかしながら, これら泥状便, 腹部症状の発生頻度とLS摂取量の増加との間には相関は確認されず, むしろ多量の牛乳摂取によるものと考えられる.
以上の結果より, LS入り粉末清涼飲料の摂取はBifidobacteriumなどの有用菌を増加させ, 排便日数, 排便量, 便の色, 便の形状, 便の硬さなどに対して改善効果を示すことが明らかになった.

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