日本食生活学会誌
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ジアシルグリセロールを主成分としたクッキングオイルを料理に用いた場合の調理性の検討
小川 久惠奥嶋 佐知子児玉 ひろみ
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2001 年 12 巻 2 号 p. 100-108

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抄録

生活習慣病, 肥満防止などが可能と考えられる体に脂肪が蓄積しにくいジアシルグリセロールを主成分とする油 (市販, 健康エコナクッキングオイル: 花王株式会社製, DAG-O) の調理性について, 同一原料から採油したトリアシルグリセロールを主成分とする油 (TAG-O) を対照に, 油の使用量が多い揚げ物 (素揚げ, から揚げ, パン粉揚げ, てんぷら), 妙め物, サラダ (ドレッシング) を調製し, 検討して以下の知見が得られた.
1. 官能評価法による評価の結果, DAG-Oで揚げ物, 妙め物, サラダを調理したところ, 調理直後においてはTAG-Oで調理した場合とほぼ同じ評価を得, てんぷらにおいてはテクスチャー項目でTAG-Oに比べてむしろ高い評価を得た.
2. 調理後30分および60分の時間経過後におけるDAG-O, TAG-O試料間の相違は, 吸湿しやすいポテトチップにおいて有意差を生じ, 親水性のあるDAG-Oの評価が調理後30分の間に急激に低下した. その他の料理についての有意差は認められなかった.
3. サラダドレッシングの油と酢の分離速度を計測した結果, 5分後のDAG-OはTAG-Oと変わらず0%であるが, TAG-Oは15分で50%, 30分で80%が分離するのに対してDAG-Oは15分で5.5%, 30分で30%弱とTAG-Oの1/10から1/3の分離速度であった.
4. サラダに付着するドレッシング量を, 付着した脂肪量を定量して比較した結果, 両油間には差がみられなかった.

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