日本食生活学会誌
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木綿豆腐の地域性に関する調査
沖縄地方と関東地方の比較
添田 孝彦山崎 勝利
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2002 年 12 巻 4 号 p. 354-360

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抄録

沖縄および関東地方の市販木綿豆腐に関する商品調査, 聞き取り調査および物性評価を中心におこなった.
(1) 原材料について, 凝固剤はすまし粉からニガリへ, 大豆は輸入大豆から国産大豆への切り替えが, 特に関東地方において顕著で, 近年の潮流であることが示された. 消泡剤は沖縄地方では使用されず, 関東地方でも約半分以上が不使用となっていた.
(2) 製法について, 沖縄地方では現在でも約70%が生絞り法を採用していたが, 関東地方はすべて煮とり法となっていた.
(3) 沖縄地方の豆腐料理を豆腐の前処理法と調理法の二つの軸を用いて整理した. 調理耐性をもった豆腐が沖縄地方の豆腐の存続の要因と推察された.
(4) 成分的にはMg含量は上昇し, 逆にCa含量は低下していた. これは商品調査から約80%がニガリ使用であるという結果と併せると, 凝固剤はすまし粉からニガリへの切り替えを裏付けるものであり, 現時点で既に5訂日本食品標準成分表記載のMgおよびCa値と大きな差異がみられた.
(5) 豆腐のかたさについては沖縄地方と関東地方間で大きく異なった. 関東地方の豆腐に比べて, 沖縄地方の豆腐のかたさは1.7倍を有し, 豆腐物性の地域間での客観的比較が可能となった. 将来, 大豆をより多く摂取するための手段として, 沖縄料理的な豆腐料理を各地に提供していく意義は大きいと感じる.

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