2018 年 1 巻 1 号 p. 15-22
つねに誰かとつながっていない不安で仕方がない.今日のネット依存の背景には,人間関係に対するこのような強い思い入れがある.それは,現代における社会関係の流動化の反映であると同時に,他者からの承認欲求を喚起する仲間集団の固着化の反映でもある.このような接続志向の社会において,人間関係から外されることを恐怖する感情こそが,インターネットを介した常時接続へと私たちを駆り立てている.だとすれば,インターネットの利用を禁止することによってではなく,むしろ日々の仲間集団を外部へと開かせることで,誰かとつながっていなければならないという絶えざる圧力を減じることによってこそ,私たちはネット依存の問題を解決することができるはずである.