2019 年 31 巻 1 号 p. 19-32
本稿では、京都府与謝郡与謝野町にある社会福祉法人よさのうみ福祉会の障害者就労支援事業の観光事業に着目し、その実践から、障害の有無、年齢、性別、人種等にかかわらず誰もが気兼ねなく参加できる旅行と定義されるユニバーサルツーリズムの新たなモデルを提示する。同事業は、障害者の生活自立だけでなく同町の観光振興を担い、関連する事業者の利益拡大に貢献し、観光を通じて地域の持続性を高めている。それを可能にしているのは、障害者の主体性を尊重し、地域形成の担い手として位置づける同法人の理念にある。 障害に対する意識の転換が、観光を通じた包摂的な社会形成につながることを明らかにする。