抄録
本研究では、消費者行動研究の分野で発展してきた「経験価値モデル」に基づき、四国巡礼バスツアーの参加者を対象とする質問紙調査を行い、巡礼ツーリズムに現代の巡礼者が見出している多様な経験価値を捕捉するための尺度開発を行った。その結果、経験価値の構成概念については、「神聖性の価値」および「社会的価値」、「経済的価値」、「真正性の価値」、「脱日常的価値」、「教育的価値」の計6因子、22項目が抽出された。巡礼ツアー参加者が巡礼ツーリズムの経験を通じて見出している「聖なるもの」の価値次元が「神聖性の価値」として抽出されるとともに、固有の巡礼文化を有する四国巡礼ツーリズムの地域性についても確認された。