日本救急医学会雑誌
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症例報告
ハイポネックス® (窒素, リン酸, カリ混合化学肥料) 大量服用によりメトヘモグロビン血症を生じた1例
上村 修二丹野 克俊平山 傑
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キーワード: 急性中毒, 化学肥料, 亜硝酸
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2007 年 18 巻 10 号 p. 713-717

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抄録
症例は63歳の女性。自殺目的で焼酎5合とハイポネックス®推定150mlを服用し, 18時間後に救急外来を受診した。来院時, 高カリウム血症とメトヘモグロビン血症 (動脈血メトヘモグロビン25.6%) を呈していたが, メトヘモグロビン値は徐々に改善し, 来院12時間後に正常値となり, 第3病日退院となった。ハイポネックス®中毒による死亡例の報告はあるが, メトヘモグロビン血症の発症の報告はない。硝酸塩が酸化物質である亜硝酸塩に還元され, 血液内で亜硝酸塩によりヘモグロビンがメトヘモグロビンに酸化された結果と推測された。液体肥料中毒の重症例の報告は稀であるが, メトヘモグロビン血症を起こす可能性が考えられるので注意が必要と考えられた。
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© 2007 日本救急医学会
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