日本救急医学会雑誌
Online ISSN : 1883-3772
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原著論文
日本救急医学会救急科専門医指定施設における初期臨床研修プログラムとER型救急医療研修
鈴木 昌堀 進悟山下 雅知瀧野 昌也箕輪 良行本多 英喜太田 凡林 寛之寺澤 秀一瀧 健治山田 至康明石 勝也山本 保博
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2009 年 20 巻 11 号 p. 871-881

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抄録

目的:新医師臨床研修制度における救急部門研修では,その到達目標から救急部門を受診する患者を重症度や臓器専門性に関わらず診療するER型救急医療モデルが適しているといわれるが,初期臨床研修におけるER型救急医療研修(ER型研修)の施行状況は明らかでない。本研究の目的は,日本救急医学会救急科専門医指定施設にいてER型研修を採用している施設の割合とその特徴を検討することである。方法と結果:日本救急医学会ER検討特別委員会が平成19年11月に救急科専門医指定施設408施設を対象に行ったアンケート調査(有効回答269施設)で,初期臨床研修にER型研修を採用していた施設は187施設(70%)であった。検討対象施設の特徴をカテゴリーデータの主成分分析を用いて検討すると,重症救急患者受け入れのための医療資源と救急患者を多数受け入るための医療資源の2つの成分が抽出され,ER型研修を採用する施設は,重症救急患者を受け入れる資源に乏しいが,救急患者を多数受け入れる施設であった。一方,日本救急医学会指導医指定施設や大学病院,高度救命救急センターは,重症救急患者受け入れの資源が豊富な一方,救急患者の多数受け入れは行われていない施設であった。結語:救急科専門医指定施設において,初期臨床研修にER型研修を採用していた施設は70%であり,多数の救急患者を経験できる研修の場であるが,重症救急患者を受け入れる資源に乏しいことが示唆された。

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© 2009 日本救急医学会
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