日本救急医学会雑誌
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原著論文
救命救急センターにおける小児診療体制整備の効果-成人同等の外傷診療を発揮できるのか?-
問田 千晶六車 崇松岡 哲也
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2011 年 22 巻 5 号 p. 205-212

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抄録

背景:重症外傷患者の転帰には,迅速かつ的確な初期診療の可否が大きく影響を及ぼす。小児患者の診療において,成人との体格差や生理学的特徴の相違が患者評価や治療の障壁となり得る。当施設では小児外傷診療の治療水準を向上させる目的で,2005年より小児診療体制の整備に取り組んだ。目的:救命救急センターにおける小児診療体制の整備が,小児重症外傷患者に対する初期診療および転帰に与える効果を検証すること。対象:2000年1月から2008年12月に当施設へ直接搬入された重症外傷患者のうち,10歳未満の小児患者60例。方法:小児重症外傷患者の重症度と初期診療機能(診療経過および転帰)を,診療録より後方視的に検討し,小児診療体制整備以前の33例(小児前群)と小児診療体制整備後の27例(小児後群)間で比較した。また小児後群においては,同時期の成人重症外傷例337例(成人群)とも比較した。値は各群の中央値を表す。結果:小児診療体制の整備により,搬入から輸液路確保までの時間(小児前群 vs. 後群:7 vs. 2分),気管挿管までの時間(15 vs. 10分),CT室入室までの時間(31 vs. 23分)が,成人群(輸液路確保:2分,気管挿管:9分,CT室入室:29分)と同等レベルまで有意に短縮された。開頭・穿頭術や止血術は,ほとんどの症例で60分以内に開始可能であり,少なくとも小児後群では,preventable deathを認めていない。結語:小児診療体制の整備により,救命救急センターにおいて小児重症外傷に対しても成人と同水準の診療提供が可能であった。

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