日本救急医学会雑誌
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症例報告
Staphylococcus intermediusによる尿路感染症により高アンモニア血症を来した1例
齋藤 伸行八木 貴典林田 和之原 義明松本 尚益子 邦洋横田 裕行
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2012 年 23 巻 5 号 p. 205-210

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抄録

症例は80歳の女性。自宅内で意識障害を認めたため家人が救急要請した。1週間前の転倒で骨盤骨折を受傷し寝たきりの状態であった。来院時,意識レベルJCS 200であったが,呼吸循環動態は安定していた。頭部CTおよびMRIでは異常所見を認めなかったが,検査所見で血中アンモニア値が500μg/dl以上と異常高値であった。尿道バルーン挿入により大量の血尿を認めた。尿のグラム染色で赤血球とともに無数のグラム陽性球菌とグラム陰性桿菌を認めたことから尿路感染症による敗血症ならびに高アンモニア血症と診断しICUへ入院となった。ICU入室後は,気道閉塞の危険性があったため人工呼吸を行った。来院後6時間経過した段階で血中アンモニア値は91μg/dlまで低下した。この時点で十分な輸液負荷にもかかわらず無尿状態は継続していたことから,持続血液濾過透析(以下,CHDF)を開始した。20時間後,尿量が十分得られるようになり,CHDFを中止した。意識状態は徐々に改善し,第5病日に人工呼吸器から離脱抜管した。尿培養検査でウレアーゼ産生菌のStaphylococcus intermediusが検出され,血中アンモニア高値の原因と考えられた。意識障害を呈する尿路感染症では,起因菌により高アンモニア血症を認めることがあり注意しなければならない。

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© 2012 日本救急医学会
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