日本救急医学会雑誌
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アセタゾルアミドによる臓器血流増加作用
血管作動因子の推移について
瀧 健治遠藤 重厚稲田 捷也加藤 博之平原 健司大串 和久
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1999 年 10 巻 3 号 p. 141-146

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抄録

炭酸脱水酵素阻害薬(アセタゾルアミド;AZ)の血流増加作用について,AZ投与時とCO2負荷時の臓器血流量と血管作動因子の関係を検討した。方法:2群の家兎の各々にAZ 4~12mg/kgの投与後,また5%と10% CO2負荷時の肝臓,腎臓,胃壁,腹筋の血流量をレーザー血流計で測定した。さらに心拍出量と血中PGI2(プロスタグランデイン),エンドセリン(ET-1),NOxを測定した。結果:AZ投与時には肝臓と腎臓の血流量は増したが,胃壁と腹筋の血流量および心拍出量には増加が認められなかった。血中のPGI2, ET-1, NOxにも変化は認められなかった。一方,CO2負荷時に心拍出量は増加し4臓器すべての血流量と血中PGI2とET-1は増加したが,NOxだけに変化は認められなかった。結論:AZ投与による臓器の血流増加は炭酸脱水酵素の豊富な臓器で認められ,その機序としてはCO2負荷時と同様な血管作動因子の作用ないしまったく異なった機序が関与して臓器血流を増すものと推察された。

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