日本救急医学会雑誌
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外傷症例のアンダートリアージが治療経過・短期機能予後に及ぼす影響の検討
森村 尚登福澤 邦康軽部 義久内田 敬二山本 俊郎安瀬 正紀杉山 貢
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2001 年 12 巻 7 号 p. 350-359

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抄録
わが国における外傷症例の現場での重症度評価や搬送先病院の適正さに関する検討は検索した範囲では報告されていない。そこで外傷症例におけるアンダートリアージが患者の治療経過・短期機能予後に及ぼす影響について検討した。対象は1997年4月から1999年3月までの2年間に都市型三次機能病院(横浜市立大学医学部附属市民総合医療センター救命救急センター)に搬送された15-55歳の鈍的外傷症例のうちinjury severity score (ISS 85) >15かつrevised trauma scoreを構成する3つの因子(Glasgow Coma Scale,収縮期血圧,呼吸回数)のいずれかのcodeの点数が3点以上であった29症例(頭部abbreviated injury scale (AIS) ≧3の症例,来院時心肺停止症例,24時間以内死亡・転院例を除く)とし,当センターへの直接搬送群(DT群)と他院を経た間接搬送群(IT群)に分類,検討した。デザインは後ろ向きコホート研究。ICU滞在日数はDT群に比較してIT群では長い傾向にあり(DT群vs IT群=3.7±3.3 vs 9.0±11.2(日),p=0.09),退院時または転院時のGlasgow Outcome ScaleはIT群で有意にSDの転帰をとる症例が多かった((GR+MD)/SD: (5+3)/2 vs (4+1)/11(人),p=0.04)。以上の結果から,重症度に合った病院への適正搬送が患者の予後を改善すると推測された。今後は現場での重症度判定と病院選定の基礎となるトリアージツールの導入が必要である。また外傷診療システムの科学的評価のために診療圏におけるアンダートリアージ率とオーバートリアージ率を算出する必要がある。そのために消防局と病院に共通なテンプレートを有した記録の下で,地域診療圏における全外傷症例の疫学的調査を行っていくことが重要であると考えられた。
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