2002 年 13 巻 1 号 p. 13-18
当科での肺血栓塞栓症(PTE)の診断は,肺血流シンチと胸部単純写真による換気/血流のmismatchと臨床像を組み合わせた方法を基本としている。換気/血流のmismatchが2区域以上をhigh probability,それ以下をindeterminate probability (1区域以下のlow probabilityと両者の中間のintermediate probabilityを含む)とに分類した。臨床像については7項目を設定し4項目以上をhigh suspicious clinical manifestation (HSCM)とし,4項目以下をlow suspicious clinical manifestation (LSCM)と規定した。high probability 31例中,HSCM 18例には肺動脈造影(pulmonary angiography, PAG)を施行せずLSCM 13例のみにPAGを施行した(陽性11例,陰性2例)。一方,indeterminate probabilityと診断した12例中,LSCM 7例に対しては,PAGを行わず経過観察とした。HSCM 5例にのみPAGを施行した(陽性4例,陰性1例)。PAG施行率は41.9%, positive predictive valueはhigh probabilityで93.5%と高率であったがindeterminate probabilityでは33.3%と低率であった。